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身から出た寂

堪えきれず出てしまった一人言を5人くらいに見て欲しい、そんな自己承認欲求を満たすための場所です。野崎まどについてばかりになると思います。

歴史物の登場人物はディテールが重要

お題「真田丸で出演できるなら、誰役?」


時は戦国から天下太平へと移り行く1600年。関ヶ原の合戦が終結し、闘いに馳せた人々の傷が少しばかり癒えた頃。歴史に名の残らぬある一人の男が意を決し茶屋へと赴いた。



「やぁ、やってるかい」
暖簾は相変わらずほつれが目立ち、かつては綺麗だった藍色も、今や薄れて灰とも区別がつかぬ程になっていた。しかしこれは男にとって伝え聞いた話。男がこの茶屋に訪れた頃には既に今と変わらぬ色、風合。元から灰色だったのかもしれぬと暖簾が手に掛かるたび、男は詮もない事を思うのだった。


「あらあらタケさん久しぶりねぇ。大きな戦があると聞いてもしかしてなんて思ってたのだけど、無事で良かったわぁ。さぁさぁお座りなさい。茶と団子しか無いけどゆっくり一息つきなさいな」
これまた相変わらず茶屋の奥さんは優しい笑顔で男を迎えてくれた。戦国の世で育ったとは思えない朗らかさは、この茶屋が街道に面さず、山合いでかれこれ50年続いている事が起因しているのだろう。


タケさんと呼ばれている男は、茶屋の奥さんに言われるがまま茶屋の座敷に腰を下ろし、茶と団子が出てくるのを待った。タケさんと呼ばれている男は、前回来たときはシンさんと呼ばれていた。時々呼び方が変わるのは茶屋の奥さんが覚えていないのか、おっちょこちょいなのか、未だに判断出来ずにいる。


朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶屋の奥さんは愛する旦那さんが作った団子と、旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶屋の奥さん自身が淹れた茶を前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男の元へ運んだ。


前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男は、茶と団子をゆっくりと味わい、その変わらぬ味に安堵を覚えた。流通が安定しないこの時代、一つの食べ物の味を維持する事が困難である事くらい想像に難くない。この安心感があるからこそこの店は50年続いているのだろう。


しかし、いつまでものんびりもしていられない。意を決して茶屋に訪れた事を思い出した前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男は、居住まいを正すと、旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんに向かって話を切り出した。


「奥さん、実は大事な話があって今日はここに来ました。」
いつもと雰囲気が違う意を決して茶屋に訪れた事を思い出した前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男の一言に、旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんはその言葉に応じるように姿勢を正し次の言葉を黙って待った。


居住まいを正したいつもと雰囲気が違う意を決して茶屋に訪れた事を思い出した前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男は次の一言を少し迷うように口にした。
「実は、私は、この時代の人間では無いのです。簡単に言えば、未来からやってきたのです。私の名前は武田信道。今から30年程前に亡くなった戦国武将武田信玄の子孫なのです。本来であれば武田信玄が存命していた時代に行き、彼が天下統一する助けとなるはずだったのが、乗り物の故障でこの時代に飛ばされたのです。故障した乗り物の修理もままならず、途方に暮れていた私に今と同じように茶と団子をくださったのが奥さんです。この感謝は死ぬまで忘れません。本来ならばこの恩を少しずつ返していくのが道理なのですが、去る関ヶ原の合戦にて、私は同じ時代からやってきた人に出会い、その彼が暫くして元の時代に帰ると言うのです。この機会を逃すともう二度と元の時代に変えれないかもしれません。多大なる無礼と知りながらも元の時代へ帰る事を、どうしても、どのように思われようとも、あなたに伝えたかったのです。」


息もつかせぬ口調で、武田家の天下統一を手助けしようと未来から来たにも関わらず故障により戦国時代末期に不時着した武田信玄の子孫で関ケ原の合戦にて同時代の人間に出会い元の時代に戻れることになり多大なる恩を受けた旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんに一言伝えた居住まいを正したいつもと雰囲気が違う意を決して茶屋に訪れた事を思い出した前回はシンさんと呼ばれていたタケさんと呼ばれている男武田信道は、旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんの言葉を待った。


武田家の天下統一を手助けしようと未来から来たにも関わらず故障により戦国時代末期に不時着した武田信玄の子孫で関ケ原の合戦にて同時代の人間に出会い元の時代に戻れることになり多大なる恩を受けた旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんに一言伝えに来たことを知った旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんは、眼鏡を外すといつもと違う微笑みを、

彼(メモ帳454byte相当)に向けた。
「そうなのね、未来から……何となくそうなのかしらと思っていたけれど。実はね、私も未来から来たのよ。この時代に来た理由は簡単、何となくこの時代が好きだったからよ。でも乗り物は故障。私が困り果ててたそんな時助けてくれたのが今の旦那さんなの。私は、もう未来には戻れない。この時代の人間として一生を終えるわ。でも本当に良かった。昔の私のような人の手助けが出来て。本当に良かった。私の様に未来に戻れなくなることにならなくて。」


思いもよらぬ、彼(メモ帳556byte相当)と同じく未来からやってきて未来に戻れなくなったところを今の旦那さんに助けられてこの時代で一生を終える覚悟をした事を告白した武田家の天下統一を手助けしようと未来から来たにも関わらず故障により戦国時代末期に不時着した武田信玄の子孫で関ケ原の合戦にて同時代の人間に出会い元の時代に戻れることになり多大なる恩を受けた旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い茶屋の奥さんに一言伝えに来たことを知った旦那さんを愛する朗らかで物覚えが悪いのかおっちょこちょいなのか分からない茶を淹れるのが上手い実は眼鏡をかけていた茶屋の奥さんの告白に、彼(メモ帳1.11KB相当)は衝撃を受けた。


「そ、そんなまさか……」
「本当よ。眼鏡掛けてるの見て分からなかった?これ、Zoffで買った形状記憶フレームの眼鏡よ。」
Zoffの……」
フレームにZoffのロゴが入っていた。



彼(メモ帳1.13KB相当)は歴史に疎かった。更に言うと、たまたま名前が似ているだけで武田信玄の子孫でもなんでもない。山川の日本史教科書を読んでいてたまたま名前が似ているのを発見して妄想を膨らませて一人で勝手に盛り上がってしまっただけであった。




「でも、これでお別れなのね。寂しくなるわ。」

彼(メモ帳1.32KB相当)が物事の整理が出来ておらず混乱している最中、別れを惜しむように奥さん(メモ帳1.12KB相当)は呟いた。