身から出た寂

堪えきれず出てしまった一人言を5人くらいに見て欲しい、そんな自己承認欲求を満たすための場所です。野崎まどについてばかりになると思います。

はじめての野崎まど・リベンジ

【登場人物】

邸(やしき)くん:野﨑まど作品が好きな男の子。ちょっと天然なところも。

和歌(わか)ちゃん:邸くんの双子の妹。憧れの女の子がいるよ。

 

     ◇     ◇     ◇

 

2段ベッドのある部屋で男の子はPCデスクの前で考え込んでいる。PCのモニタにはとあるサイトの記事が表示されていた。もう何度も見たその記事をまた流し読みをしたその男の子は少しわざとらしいため息をついた。

 

邸  あー、僕も「はじめての野崎まど」書いてみようかなぁ。

和歌 へぇ~なにそれ?僕も、って誰かそういうのを書いたことがあるの?

邸  あれ?読んだことなかったっけ?「はじめての野崎まど」。

和歌 いや、無いわよ。今初めて知ったわ。少し読ませてよ。

 

そう言って「はじめての野崎まど」が表示されたままのPCのモニタをのぞき込む。

http://kindou.info/54166.html

軽く目を通した彼女はもと居たベッドの上に腰を下ろした。

 

和歌 そこそこまとまってる感じがするけど、なんか、つまんないわね。

邸  はっきり言うねぇ。でもこうやって書くだけでもすごいと思うよ。

和歌 まぁ、そうとも言うけど。でも「はじめての野崎まど」ならもっと……

邸  「狂気」が欲しい?

和歌 あー、そんな感じ。もっとはっちゃけてもいいと思ったのよね。

邸  そこらへん意識した感じのを僕が書いてみようかなぁ、なんてね。

和歌 へぇ、いいんじゃない?あんたも野﨑まど好きなんだし。

邸  まぁ誰に見せる訳でもないんだけどね。少しだけアイディアはあるんだ。

和歌 あら、もう考えてたの。じゃあちょっとどんなのか教えてよ。

 

     ◇     ◇     ◇

 

邸  「それは、乳房であった」

和歌 それが最初!?狂気ばかり見て大切なものを見失ってるわよ!!

邸  ほら、登場人物リスペクトってやつ?あいつら女体以外見失ってるし。

和歌 まだ読んでない人にそれかましてどうするのよ!少し落ち着きなさいよ……

邸  ……ファンタジスタドール

和歌 捨て台詞みたいに言わないでよ……あれはとても良いアニメよ。

 

邸  うん、少し落ち着こう。となるとやっぱり最初に紹介したいのはこれだね!

2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

 

 

和歌 やると思ったわ……あなた、殺されるわよ?

邸  僕は僕の感動した作品を素直に薦めたいんだ!

和歌 物事には順番ってものがあるでしょ!まずは『[映]アムリタ』でしょうよ。

[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)
 

 

和歌 って、なんで私が紹介してるのよ、もう。

邸  うん、ありがとう。良いアシスタントになれるよ。

和歌 あんたのアシスタントになんかなるかこのブタ野郎!!

  ぶひぃ!(ひどい!)

 

邸  ……さ、さて、話を戻そう。ちなみにこの作品、読んでると吉祥寺に住みたくなるよね。

和歌 そうね、結構実在する場所とかも出てくるから聖地巡礼とかも出来るしね。

邸  うん、聖地巡礼といえばやっぱり『know』でしょ!

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

 

 

和歌 その紹介の仕方でいいの?世間的にはこれが代表作になるでしょうに。

邸  そこら辺は自分でググらせればいいでしょ。

和歌 本当にはじめての人たちに優しくないわねぇ。元の目標忘れてない?

邸  「アイカツ!」の小説版『アイカツ!』の布教?

アイカツ! (ちゃおノベルズ)

アイカツ! (ちゃおノベルズ)

 

 

和歌 『小説現代 2014年1月号』228ページ!

邸  流石わが妹。急なフリでも即座なツッコミ惚れ惚れするね。

小説現代 2014年 01月号 [雑誌]

小説現代 2014年 01月号 [雑誌]

 

 

和歌 はぁ、はぁ……疲れるからもうボケるのやめてよ……。

邸  分かった分かった。じゃあ次に紹介するのはこれだよ。

バビロン1 ―女― (講談社タイガ)

バビロン1 ―女― (講談社タイガ)

 

 

邸  「新域」という東京都多摩市・町田市・八王子市・神奈川県の相模原市を主に舞台とした作品だね。これまでの野﨑まど作品の各要素が盛り込まれたような「はじめての野崎まど」としてはピッタリな作品になっているよ。橋本駅なんて具体的な場所も出てきて土地勘ある人なら情景が思い浮かびやすいかも。最新刊だしこれから入るのも良いかもね。

和歌 やっとちゃんとした紹介になったわね。

邸  逆に言うと野﨑まど作品を読み込んでる人はいくつかタネが読めちゃったりするけど。

和歌 それは言わなくていいでしょ!薦めてる人の発言じゃないわよ!

邸  ちなみに中の人はタネ読めたけどそれでもめちゃくちゃ楽しんでたよ。肝心な部分はしっかり裏切られたし。

和歌 ここにきてメタ的な発言は残念でしかないわよ?

?? ちなみにいくつかのタネは読めてたけど学が無かったから「F」は何か分からなかったよ。

和歌 頭が残念な人なのね……かわいそう……

?? そんな目で大人を見るんじゃない!

 

邸  少し横道にそれちゃったけど話を戻すよ。最後に紹介するのはこれだね!

 

和歌 あれ?第2弾の方?有名なのは第1弾の方じゃない?

邸  そうなんだけどね。でもやっぱり個人的におすすめなのはこっちだね!

和歌 どうして?

邸  単純に僕が好きって言うのもあるけど、こんな高いクオリティのネタを出し続けてるのが凄いなっていうところかな。正直第1弾よりも良いかも。

和歌 良い意味で頭どうなってんのか分からない人よね。

邸   特に好きなのは「東京ねこさんぽ」だね。

和歌 へぇ、なんで?

邸  あれは貴重な野﨑まど先生へ繋がる作品だからだよ!

和歌 ん?

邸  先生はよく実在する場所を作品内に取り込んでいるけど、それはある程度土地勘があるからだと思っていてね。特にデビュー作なんてよく自分の経験から生まれ出たものが多いでしょ?この「東京ねこさんぽ」もだけど吉祥寺がよく出てくる。多分生活圏内なんだろうね。『[映]アムリタ』の著者紹介では墨田区が出てくる。ここに実家があるのだと推測しよう。そして、先生は麻布大学獣医学部出身だ。麻布大学はJR横浜線矢部駅が最寄り駅で、これは『バビロンⅠ  -女- 』の舞台である「新域」内にある。更に作品内で橋本駅が出ているところから在学中橋本駅を使っていたとすると、通学ルートはJR中央線八王子駅でJR横浜線に乗り換えるルートだろうね。タイミングによっては橋本駅で1度乗り換えるパターンもあるし。しかしここで問題がある。もし実家が墨田区、仮に最寄り駅を押上にしてみよう。そうならば、電車に乗る時間は約1時間30分。家から大学までの通学時間なら2時間近くになるだろう。これは少し大変だ。家が多少お金に余裕あるなら一人暮らしも視野に入る。となった時に住みやすさや通学のしやすさ、これまでの推測から考えると家は吉祥寺駅周辺だろうね。定期券内に吉祥寺駅を入れるのであれば吉祥寺駅阿佐ヶ谷駅くらいかな。こういう推測が出来る1つのネタになるんだよ!

和歌 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いなにそれどうしたのどうしたのどうしたの!?ストーカーよそれ、立派なストーカー!!

邸  まぁ、それか学生時代は頑張って実家から通って社会人になってから多少知ってる吉祥寺駅周辺に住んだのかもしれないけどね。なにせ住みたい街上位の街だし。

和歌 いやいやいやいや、今そんなあんたの妄想にケチをつけたいとかそういうのじゃなくて、シンプルに怖いのよ!なに?そんな事考えてたの?いくら先生がサイン会をいつまで経ってもやってくれないからってそれは無いわよ!出版社とか書店とかの都合もあるし、何より先生の気持ちがあるでしょ?先生の住んでいる所を特定しようなんて事はファンとして止めなさいよ!もしかしたら3DCGのTVアニメ『正解するカド』が人気出たらまた何か展開が変わってるかもしれないし大人しくしておきなさい!

seikaisuru-kado.com

 

邸   いやいや、そんなことはしないよ。ただちょっと「東京ねこさんぽ」に載ってる写真の場所を確認したいだけだし。

和歌 ネタバレの上にやっぱりストーカー思考!止めて、本当に止めてよ……?

邸   大丈夫大丈夫、冗談だって。もう、和歌は真面目だなぁ。

和歌 あんたがいけないんでしょ……。

 

邸  ふぅ、なんか一気に吐き出してスッキリした。そういえば、和歌は今日クラス委員のあの子と遊ぶ約束してたんじゃなかったの?

和歌 あっ、忘れかけてたわ。あぶないあぶない。もうそろそろ良い時間だから行ってくるわ。

邸  もうそろそろ憧れてるってくらいは伝えても良いんじゃないの?

和歌 そんなの余計なお世話。下手したらローキックくらっちゃうわよ。あんたもプリンの生き霊と仲良くね。

 

そういうと和歌は楽しげに部屋を出ていったのであった。

 

     ◇     ◇     ◇

 

惑星クウィリーから稀代の作家野﨑まどと書評家香月祥宏の代わりに回収された2体の幼獣インタ・ビウィ。『停電惑星』(早川書房)を執筆後、野﨑まど作品を与えるとそれらに影響を受け、書評(とも言えなくなった何か)が以前と比べ野﨑まどの作風に寄り始めた。具体的には10のマイナス18乗倍くらい。

 

 

『インタビュウ アトらしいもの』(著:インタ・ビウィ)

 

 

 

 

※『停電惑星』は架空の書籍であり、実際には出版されておりません。